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31日目

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突然嘔吐した事情がよくわからない。
何か拾い食いでもしたんだろうか。
こいつの場合あまりない。
食当たりか。
いや、食事は気をつけている筈だ。
じゃあなんなんだろうか。
そもそもなんで泣いているのかすらわからなかった。
そうしていると今度はカツオは顔を青ざめ始める。
なんだまた吐きそうなのかと背中でも撫でてやろうかと近づこうとすると

「死にたい」

「生きろ」

思わず間髪入れた言葉に大人しく「あ、はい。」と頷く辺り素直だ。
恐らく嘔吐しながら鼻水垂れ流して泣いている姿を見られるのが醜態と思っているんだろう。
時々カツオはよくわからない部分でとても落ち込む時がある。
以前もボクが襲われた時、彼は数日寝ないで見回りをしていた事があった。
それを指摘した時酷く狼狽した挙句に逃げ出したのだ。
確かに照れる所ではあるがカツオを追い詰めると死にたいと喚きだしたのだ。

「で、だ。」

本題を忘れていた。
ボクは改めて仕切りなおすように声をかける。
考え事をしていたのかカツオは反応が少し遅れて顔を上げた。
安心させるように笑みを浮かべ両手を広げてやる。
この頃にはもう先ほどの事なんてスッカリと忘れていた。

「胸を貸してやろう!」

「あ?」

理解できなかったようだ、唇を尖らせもう一度言ってやる。

「だから胸を貸してやるって言ってるのだ。」

「い、いらねぇ…」

大体予想がついてはいた。
こいつは自分の情けない所を見られるのもそこから優しくされるのも得意ではないのだ。
だからといってそのまま無視出来るほどボクも大人でもない。

「寂しい事言うなよぉー!」

そのまま顔を汚したままのカツオの頭をハグしてやると最初は抵抗していた様だが次第に大人しくなっていった。
多分カツオになにがあったかを聞いても話してはくれないだろう。
だがそのままにしておくのはあまりにも寂しいし冷たい。
なにかしらカツオにやってやりたかったのだ。
子供をあやすように頭を撫でてやり暫くすると落ち着いたようだ。
背中を軽く叩かれ腕の力を緩める事にした。

ハンカチを取り出し自分の顔を拭い始めている。
もう大丈夫だろうか、そう思って立ち上がってその場を去ろうとすると。

「お前もぼろぼろじゃねーの、此処で会ったのも何かの縁だ
 ちょっくら部屋よってって綺麗にしてけよ救急箱と風呂位あらぁ」

「え、ああ…。」

確かにボクの格好は綺麗とは言えない。
タイツも裂け足が擦り傷や切り傷も多く、服も汚れてしまっていた。
かといって彼に甘える気はあまりわかなかった。
そもそも約束を破ってしまった本人を前に甘えすぎるのもいけないような気もするのだ。
渋っているとカツオは気だるげに息を吐き出した。

「あー…超泣いたから頭痛いわーこりゃ一人で部屋に到達した瞬間
 頭を床に猛烈打ち付けながら気を失いそうだわーそのまま起きれないかもしれないわー」

微妙に棒読みに近い言い方だったが、先ほどの事もあり心配な部分でもあった。
ゆっくりと頷くとカツオは「じゃあ」と声を上げると彼はいつのまにか手にプレートを握っていた。
見知ったマジックルームのものだ。
不意にカツオの目の前に古びた扉が現れた。
プレートをはめ込みドアノブを回すとカツオの部屋なのだろう
彼の好きそうな本とベッドを基調とした部屋になっていた。
カツオの後に続き中に足を踏み入れぼんやりとカツオの様子を見ていると。

「俺はちょっくら疲れたからこれから寝る、でもお前に話す事もある。
 俺が起きるまでこの部屋好きに使っていいからどっか行くなよ。
 もし行ったら周りがドン引きする位凹むし大人げもなく泣いて己の羞恥を
 かなぐり捨てた行動に出るから覚えて置けよ。」

「あと救急箱置いておいたからちゃんと傷消毒しろよ」そう付け足し捲くし立てるとベッドへと潜り込んでしまった。
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