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category日記

30日目

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妹が家を出てから数日が経っていた。

それから暇を見つけては外へ出、メイガスは辺りを散策していた。
本当はこんな事をしても無意味である事はわかってはいた。
ジョンを行かせに行ったが彼すら行方を眩ませ、翌朝人を使い街中を探し回ったのだ。
妹は鳥目だ、それほど遠くに行ったとも考え付かない。
最悪の場合劇団の団員に見つかって回収されたか殺されたかしたかもしれない。
悪いほうばかり考えてしまう、不意に胸の痛みを感じ痛みを紛らわせるように長く息を吐き出した。
あれから玩具屋の部屋は使わなくなってしまった。
妹が危ないというのに自分だけ平穏な場に暢気に居られる精神ではなかった。
今日も探しに行こうと扉に手をかけると同時、何か座るような衣擦れの音がした。

「やあどうも!」

その男は唐突に現れる。
顔色は酷く悪い、真っ青を通り越した青い肌をしており左右の目の色も違う。
見ている限り化け物ともとれる。

「随分酷い顔色だねえ、ちゃんと寝ているかい?ごはんは食べているかい?」

男は些細な事でも楽しむように笑みを浮かべメイガスに聞いてくる。
実際睡眠はろくにとれてはいなかった。
食欲も同様に。

「いけないなあ、私とのゲームに勝ったのだからもっとしゃきっとしてもいいんだよ?」

「契約をしなければ災厄なんて起こらないと思っていたが。
 貴方は存在そのものが災厄だ、妹が家出をした。」

「ほう!家出!君の家族は随分不良なのだねえ。
 私の娘は良い子だぞお?なにせ手足がないから家出をする必要がないからね。」

男はなにが面白いのかゲラゲラとひとしきり笑った後、咳を一つする。
そして思い出したように手を打つのだ。

「そうだそうだ、忘れていた。
 丁度君の妹が外に出ていたときがあったね、私ったらそのときお節介が働いてね。
 彼女を"隠した”んだ。」

「"隠した"?」

言葉に違和感を感じる、隠すといってもどこに隠すのか。
悪魔の考える事など想像もつかない。

「罪人の世界に堕としてあげたんだよ!
 あ、お礼は良いよ?どのみち彼女は劇団からは命を狙われなくなった。」

「聞いて良いか?その世界にいるナナを戻す方法は?」

「あるけど残念ながら君が支払える対価は、ない。」

はっきりと物を言い男は席を立つ、ソファの生地の上に白い燐粉が付着していた。

「ないってどういう事だ?まだあるぞ俺の命とか。」

メイガスの横を通り過ぎ扉を開けて出て行こうとする男の袖を掴もうとした瞬間、空振りに終わってしまう。
気がつくと膝を突いていた。立てない。

「人の命ってのはね。それほど価値はないんだよ。死んだらおしまい。」

再び胸の痛みが襲い視界が揺らぐ。
廊下を歩む男は背を向けたまま手を振り。

「私がこの情報を教えたのはね。娘が乗り物を欲しがっていてね良い物を手に入れたからなんだ。
 だからそのお礼だよ。」

男が玄関を開けるとその先に白い少女が肩に乗る形で以前居た従業員が佇んでいた。
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