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16日目

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表:
【!!】この文章はややグロテスクな内容を含んでいます!
   同時にhttp://sicx.x0.com/result/k/k1353.htmlさんとの練習試合後の時間軸になります!

その路地はとても暗く何が起こっているかすらわからない有様だった。
だがそれを示すように声にならない悲鳴が響く。
銀製のナイフが青い血を付着させ鈍く輝き皮膚をゆっくりと裂き侵入するかと思えばじれったく中を漁るとその声は楽器の様に変わる。
その声色をカテリーナは愉快気に眺め、そろそろ頃合かとナイフを奥へと進め、かけ。
突然と現れた黒い影を避ける様に横飛びに退く。
丁度ノウァを庇う様に佇むのは赤目の黒い大型犬だった。
唸るわけでもなくただただカテリーナの事をじっと見つめ、反応に困るカテリーナの背へと別の声がかけられる。

「うわー、なんつー事してんだよ。」

場違いなほど能天気な男の声だった。
声の主であるジョンはフードを目深に被り事の惨劇に気づいたのか鼻に皺を寄せ呆れた様な声を上げた。

「しかも相手はノウァさんね…カテリーナ、お前さんンな事やっちゃっていいの?
 仮にも旦那の客人だぞ、これバレたらクビ所じゃ済まないかもしれんぞ。」

「えっ!やだやだ、困るわ。働いた分がぱぁじゃない。
 お願いよ、黙ってて頂戴?」

所詮カテリーナは金銭主義なのだ、クビという一言で酷く狼狽しジョンへと誠意を示すように手を組み懇願してみせる。

「このまま引き下がってくれるんだったら、今回の件は黙っててあげようかね。」

その言葉に安堵したのかほと吐息を漏らし胸をなでおろす、話は早いと答えいつもの様に上機嫌にジョンの横を通り過ぎ――

「もっと早く来て上げればよかったのにねぇ、貴方も割りと悪人よね。」

「はあ?」

含み笑いとも付かないような声色の言葉にジョンは間の抜けた声を上げ振り向くが、カテリーナはスキップをするように軽足で去っている。
思考を切り替える様に息を吐き、昆虫標本のように綺麗に縫い付けられいるノウァを見た。
失血が酷い様で体液なのか足元には青い血溜りが出来ている。
怪我の具合を確かめようと近づくが、気づきもしない。
これは不味いのではないか、そんな焦りが過り血液を失った白い頬へを軽く叩いてやる。

「おい、大丈夫か?いま助けてやるからな。」

「ジョンさん……カテリーナはどうしたの?」

かろうじて意識はあった様だった、ただ視線は定まっておらず何故自身がここに来ているかも気がついていないかなり弱っているのが目に見えた。
問いはあまりに弱弱しい。

「あー、帰ったよ。」

「手も足もでなかったわ。貴方の美味しい餌になったでしょう……もう、放っておいて。」

銀針を引き抜くたびに床に広がる青い海に銀の輝きが1本と増えてゆく。
我慢しているのか時折苦痛の声を上げるノウァにジョンは呆れたような声を上げる。
「気づいてはいたが先手を打ち損ねたんだよ、そんな自虐るな。悪かったから……っと、これで最後だな。」

身体を縫いとめていた針は殆どとれていたが傷が酷い、今にもへたりこみそうなノウァを支えながら器用に自身のフードを脱いだ。
こんな路地裏でも街は街だ、いつ人が来てもおかしくない。
目立たず出来うる限り早急にその場を離れなければいけない。
ノウァにフードの上着を着せてやると丁度太股まで隠れ怪我のほとんどが誤魔化せた。
そのまま横抱きにしてやるとさすがにお節介が過ぎたのだろう、戸惑った声を上げジョンの頬や顔を押して嫌がる素振を見せる。

「ちょ、ちょっと、止めてよ。お姫様だっことか、悪趣味ぎるわ……恥ずかしいでしょ。」

「うわー!ノウァさんでも恥ずかしいとか思うんスか!
 そんだけ元気なら先ずは一安心だなでも前が見えないんでやめてください!
 でもなあ、こんな状態じゃあお前サン歩く事もままならねぇだろ。
 俺がお節介焼いてやんよ。」

元気と表現したが押す力は殆ど力が入っていない、軽く肩を竦め提案すると少し不貞腐れながらノウァは頷き。

「分かった、貸しにしとくわ。
 誰かに見られるのも困るから、私の部屋の異送鏡まで連れて行って。
 そこに放り込んでくれれば、誰にも見つからないから。」

「お前サンって律儀だよな。ンな事、気にしなくていいのによ。
 というかンな怪我人相手にお粗末な事できるか。」

とりあえずはと皆の居る拠点へと歩みを進める中、腕の中で苦笑交じりの声がかけられる。

「眷属なのにジョンは、本当にお人好しね。呆れるくらい。」

「しょうがないから、お願いするわ。」

「しょうがないからお願いされました。
 素直でよろしい。こういう時はおっさんを使っちゃっていいのよ。」

子供を褒める様な口ぶりで声をかけるとノウァを言われた部屋へと送り届ける。
ただし放り込む事はせず、寝台まで送り届けてやった、とか。




男は悪魔にはなったが人の心を持ち続けることはやめていない。
男は悪魔になったが恩を忘れない。
男は人間に戻りたいといまでも願っている。


裏:
「やあやあ!アストゥリアスの血族よ!ご機嫌は如何かな?!」

それは前日の事だ。
底抜けの陽気な声が夜の空に響いた。
声をかけられた少女は躾けられた動作で声の塗りへと振り返り年相応の愛らしい笑顔を浮かべ一礼をする。

「あらタイラー様!御機嫌よう御座います!
 愛娘様はお元気ですか?」

男の肌は青白く両方の瞳の大きさは一致していないおかげで人外を思わせる。
愉快気な足取りで男が歩くたびに地面へと白い粉が散ってゆく。
少女の前へと立ち止まり旧友との再開を喜ぶように両手を広げるとマントがふわりと広がると同時更に白い粉が舞った。

「あぁ!元気だとも!そしてとても美しい!我が愛姫は!
 先日もね、お腹が空いたと言っていたので生贄を300人ほど用意をしたら良い食べっぷりだ
 汚れ一つ無い真っ白な髪や肌が鮮やかな赤に変わった時は我輩は妻に感謝したよ
 素晴らしい娘を有難うとね!
 だが食ったが。」

つらつらと自分の娘の自慢話ばかりする男に少女は嫌な顔一つせず、丁寧に一言一言相槌を打っている。
すると漸く用件を思い出したのか、掌にポンと手を打ち「しまった!」と声を上げる。

「私とした事がうっかりしていた。
 アストゥリアスの血族よ、私はこれからある人物と賭けをするのだ。」

「賭けですか?一体なんのゲームででしょう?」

少女は男が心の其処からゲームが大好きである事は知っていた、勿論賭け事もだ。
男は悪魔で契約を主にする存在、つまりは”今現在契約をしておりその主と賭け事をして遊んでいる真っ最中”という事だ。
よくぞ聞いてくれたとばかり機嫌口角を釣り上げ笑を深く浮かべる、そして身振り手振りで少女へと説明を始める。

「一体どんなゲームをするかって?君も物好きだなあ!
 少々君の眷属にもちょっかいをかけるが寛大な心で許したまえ。
 具体的に言うと君の眷属が勝つか粛清人が勝つか賭けをしていてね。
 いやあー彼女には頑張って欲しいと私も思っているよ。私は粛清人に賭けているがね。」

「あらそうですか、あたくしはこの件には関わるなと。
 そういう事ですの?」

「理解が早いねえ!賢い子は我輩は大好きだぞう?」

「やだあ!おじさまったら気持ちが悪い!」

これは手酷いと男は腹を抱え暫く笑い転げる事になる。
少女は愛想の良い笑みを続けその様を見ているだけ。
漸く笑いも収まり目じりに浮いた涙を浮かべながら用件を終えた事を告げる。
帰ろうと男が少女へと背中を向けた瞬間、男のマントが大きく裂けた。
男の胸のあった場所に鏡で出来た槍がわきの下からマントを突き破る形で刺さっている。

「ゲームが始まる前に主催者を討とうとは君もやるようになったなあ!
 だがまだまだ未熟だ残念だ。
 これじゃあ君の眷属にも期待出来ないだろうなあ。」

さもつまらないとばかりにぼやき、男が腕を振り上げすぐ後ろにある少女の頭へと勢い良く肘鉄を繰り出す。
同時に少女は飛び退き体制を立て直そうとした刹那大きくバランスを崩す。
ある場所に無いのだ、片足が。
槍を付く事でバランスを保つ事が出来たが少女の居た場所ごと地面が盛り上がる。
一目見ると周辺に白い小さなトゲのようなものが自分を囲むように円になっていた。
それが片方せり出し視界はあっというまに黒に染まる。
少女はもう一度口が開いた時に漸く気づいた。

「あ、食われた。」
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