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category日記

2日目

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【表】

 ハワード・アイゼンは商人の男と普通の女との間にできた子供だ。
 彼の父親は自身を”メイガス”と名乗っている。
 それは代々受け継がれた名前だ。
 意味は”魔術師”、だがハワード・アイゼンの代になると既にその魔術師の血も薄れ些細な事しか出来なくなっていた。
 彼の父親が運営する”魔術商会”は人と化物を相手に商売をしている。
 当然恨みを買う、ハワード・アイゼンの母親は毒殺され死んだ。
 ハワード・アイゼンも父の事業はあまり好ましく思っていなかった。
 彼がまだ10代の頃、父親の取り扱う商品で目に止まるものがあった。
 少し大きめの檻に入れられた”にんげん”だ。
 ”にんげん”と言えど檻に入れられるほどに大きく醜い。

「父さん、あの人も売るのか?」

「そうだ。
 まあ…成りがあれだ、ろくな輩には売れないだろうがな。」

 ”メイガス”は冷めた眼差しでその商品を見る。
 ハワード・アイゼンもその檻に入れられている”にんげん”を見ていたが醜いながらも澄んだ青い瞳が綺麗だなと思った。
 同時に彼を買い取ろうとも決心した。



 同情からではない、自身の親が行う事業に少しでも償いが出来ればと思っての事だ。
 だが矢張り人の、ましては自身の世話すら出来ない”にんげん”の世話をするというのは苦労があった。
 世話をされる彼はアルベルト・ザウアーと名乗った。
 見た目とは正反対でとても繊細で大人しい。
 ハワード・アイゼンはアルベルト・ザウアーが自身の事を恨んでいるのではないかと思ってはいたが。
 日に日に彼が懐くのを見てその考えを解消した。

「お前……俺より年下なのか?」

「…たぶん…僕は十の歳になるまでは『ふつう』だったから。」

 自身よりも大きい巨体、てっきり年上なものだとばかり思っていたが言動が余りにも幼いため興味がてら聞いてみた事があった。
 返す言葉をなくしてしまう。
 ということはだ、彼は10の歳になってから売り飛ばされた事になる。
 よくひねた性格にならなかったものだと感心したが、その結論は直に到った。
 アルベルト・ザウアーはハワード・アイゼンの服の裾を摘んでいる。
 まだ甘えたい歳なのかと察し、その大きな手を撫でてやった。



 季節は過ぎ、アルベルト・ザウアーは病を抑える薬を与える事により肉体の肥大化が大分解消されていた。
 それでも肉体は大きいが以前のような醜い姿ではない。
 以前「ボディーガードみたいだな」と冗談半分に容姿をからかうと聊か困った素振りを見せていた。
 身体は大きいが心は昔のままのようだった。
 アルベルト・ザウアーはハワード・アイゼンの使用人となっていたが大した事はしていない。
 アイゼン・ハワードの遊び相手になるか散歩の付き合いをするか。
 以前よりタメ口が減ってしまったことと、自身に付き添うさいに服をつまんでいた癖がなくなったのは僅かな寂しさが残った。

「アル。
 唐突だが新しい家族を紹介しようと思う。」

 ハワード・アイゼンの唐突な切り出しにアルベルト・ザウアーは怪訝そうに眉根を寄せる。
 廊下の物陰に手招きをする動作、そこに赤毛の小さな少女がいる。
 不安気な表情で辺りを見回し意を決したように飛び出してはハワード・アイゼンの足元へと。
 アルベルト・ザウアーから隠れてしまう。

「鳴き声が綺麗な鳥人の種だ、乱獲されたのが流れてきてね。
 親とはわかれてしまったみたいで、つい…。」

 バツが悪そうに頭を掻いた。



 書斎に三人で毎日のように入り浸り各々”勉強”をしている。
 成人を過ぎたといえど勉強する事も多い。
 経済学の本を片手に、赤毛の少女の勉強を教えている。
 彼の使用人であるアルベルト・ザウアーは料理レシピを片手に少女の勉強を見た。
 彼女の世話を始めて最初の問題にブチ当たったのは言語だった。
 少女は鳥の鳴き声しか発さず自分達のいっている言葉も理解出来ていない有様。
 それなら此方の言葉に合わせるしかない。
 積み木を使い文字を作ってゆく。
 どれも簡単なものだ。
 それをハワード・アイゼンとアルベルト・ザウアーが見て間違いがあったものは訂正してゆく。
 時になんと呼ぶか教えもしたが人の言葉としての発音が上手く出来ずただ鳴くだけだった。
 しかし時間をかければ覚えるもので苦労の末に少女は漸く人としての声を扱えるようになる。
 あまりに嬉しく「な」しか言わなかったので少女の名前を「ナナ」にすることにした。



 三人はとても仲が良く、ナナはアルベルト・ザウアーにもすぐ懐いた。
 数年屋敷で過ごすうちにハワード・アイゼンは少し悪い癖がついていた。
 それは大人の遊びを覚えたこと。
 買い付けた娼婦を自身の部屋に招く時、アルベルト・ザウアーに廊下で出会い苦笑してみせる。
 ただ「おやすみ。」とだけ挨拶をした。
 そんな行いが数度続いた中、ある事件が起きた。
 ”メイガス”が暗殺され、ハワード・アイゼンとナナが誘拐されてしまう。



 殴られた後頭部は鈍痛を響かせる。
 朦朧とした意識の中、現状を把握しようと視線を彷徨わせると見慣れたカーペットというわけでもない。
 冷たい石床が敷き詰められている。
 遅く腹部辺りがなにか重たく暖かいものがいる事に気づき、視線をやるとナナがいた。
 怖がっているのか自身に確り付いて離れない。
 落ち着かせようと頭を撫でようとしたが手首が拘束されていてそれも叶わなかった。
 唐突に足音が響く、それも複数。
 その足音にナナは身体を震わせ怯えている。

「おい!やめろ!」

 現れた人影は無造作に腕を伸ばし、ナナの首元を握り袋の中へと詰めようとしている。
 身体を起こし食って掛かろうとしたが、また誰かが近寄りハワード・アイゼンの腹部を蹴りつけた。
 胃液が逆流し石床に嘔吐する。
 それでも袋を詰めた相手に縋ろうと脚に噛み付くがまた誰かに殴られた。
 麻袋から鳥の鳴き声が聞こえている。
 ハワード・アイゼンはその袋に聞こえるよう声を張り上げ。

「ナナ!
 待ってろ、絶対に――」



【裏】

hydeの手帳

新しい手帳だ。前のは書き切ってしまったという意味でな。
シエラに日記を書けと言われたが当初はなんて書けばいいかわからんかった。
1週間くらい天気について書いてたら一升瓶で殴られたのでやるなって事だろう。

今日もシエラの手伝いで"掃除"をしていたがいつもと大分違った。
終わり間際、急に足場が無くなって落ちたと思ったら殺伐とした世界だ。
住民に話を聞いてみるとあまりよくない地らしい。
シエラはとっととこんな世界から抜け出そうと言っていた。
だが手がかりが無い。当面現地で知り合った奴等とパーティーを組む事になった。
食べ物っぽいのと∈(・ω・)∋っぽいのとか言葉に形容しがたくて困った。

散策をしていたら小さな女の子を見かけた。
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